6月20日、ウクライナ環境NGOで構成される連合: Energy Transition Coalition は、ロシアのウクライナ侵攻後もロシア産化石燃料を購入し続けている日本企業6社、JFEスチール、日本製鉄、JERA、東京電力HD、中部電力、北海道ガスに対し、購入の停止と再生可能エネルギーへの転換を促す書面を提出しました。この書面提出の1週間前には、The Centre for Research on Energy and Clean Air (CREA)により、ウクライナ侵攻後100日間のロシアからの化石燃料輸入量に関するレポートが発表され、日本はウクライナ侵攻後において、ロシア産石炭の世界最大の輸入国であり、LNGの世界第3位の輸入国であることが発表されていました。
ロシアのウクライナ侵攻は化石燃料輸出の収入により可能である。
ウクライナの環境NGO連合が提出した書面によると、ロシアのウクライナ侵攻後100日以上が経過し、1450万人以上の市民が避難を余儀なくされ、数万人もの市民が犠牲になっています。医療機関や幼稚園、道路といったインフラの損害も大きく、ウクライナのGDPは30〜50%減少するとも試算されています。
ロシアの戦争犯罪や残虐行為、占領を可能にしている重要な要因は、ロシアの化石燃料輸出による収入です。CREAのレポートによると、ロシアは戦争開始後100日間(2月24日〜6月3日)において、化石燃料の輸出により過去最高の930億ユーロ(13兆円1)の収入を得ています。このような状況は、各国政府や企業の対応の遅さと、ウクライナを支援すると言いながらロシア産化石燃料を購入し、ロシアに軍事資金を提供しているという対応の矛盾をあらわにしました。
日本がロシアに軍事資金を提供している。
侵攻後100日間において日本は世界最大のロシア産石炭輸入国であり、さらにはロシア産LNGの輸入額においても世界で3番目に多くなっています。日本は、侵攻後100日間で、総額19億ユーロ(約2500億円)相当の化石燃料をロシアから輸入しています。
日本はこれまでもロシアの化石燃料事業に対し、大規模な支援を行ってきました。2018年から2020年の間、日本の公的金融機関はロシアの化石燃料事業に48億ドル(5280億円2)提供しており、加えて、メガバンク3社はロシアの化石燃料関連企業への投融資額において、上位15社にランクインしています。
日本政府は4月にロシア産石炭、その後5月には原油の段階的な廃止を発表しました。CREAによると、ロシア産原油の輸入は4月中旬を最後に停止されている一方、石炭の輸入は継続されており、加えてLNGも依然として大規模に輸入されています。
今回書面が送られた6社によるロシア産化石燃料の輸入量は、以下のように予測されています。
今回ウクライナ環境NGOの連合から手紙が送られた6社を始め、政府は早急に化石燃料の輸入を止め、再生可能エネルギーへの転換を図らなければいけません。日本政府は、G7加盟国として新たな化石燃料事業への公的資金供与を今年末までに停止することに合意しています。日本は、ロシア産化石燃料の輸入を直ちに中止することにより、この合意へのコミットメントを示すことができます。ロシアへの資金提供を止めるのは今しかありません。
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脚注:
- 1ユーロ142.93円
- 1ドル110円(2019年平均)